インタビュー

蛯原英里インタビュー②『ベビーマッサージとの出会い』

赤ちゃんから高齢者まで、たくさんの人に濃密なふれあいを持ってほしいという考えからFUREAI LAB.を立ち上げた蛯原英里さん。そう思うに至った原点はどこにあったのでしょうか。今回は、ふれあうことの大切さを実感した看護師時代のエピソード、ベビーマッサージと運命の出会いをした当時のことなどを振り返ります。
「ベビーマッサージと出会い、これを広めたいという使命感があふれ出ました」

■「看護師時代にふれることの素晴らしさを実感」

―そもそも、ベビーマッサージと出会ったきっかけはなんだったのですか?

英里「ベビーマッサージのお話の前に、私が看護師として6年弱働いていたときの経験からお話しさせてください。私が勤務していたNICU(新生児集中治療室)には、妊娠7ヵ月前後で生まれた500gぐらいの早産の赤ちゃん、先天性や染色体異常、他にもお産の途中で具合が悪くなった赤ちゃんなど、本当にさまざまな赤ちゃんがいて。同様に、いろんなママやパパもいらっしゃいました。早く生んでしまったという自責の念でなかなか面会に来られない方や、ショックすぎて見るだけで精いっぱいの方も多く、そんなときに私が看護師としてできることは、赤ちゃんのお世話はもちろん、ママやパパに赤ちゃんの状況を伝えること、そして、寄り添うことでした。」

―NICUにも、“ふれあい”はあったのですか?

英里「赤ちゃんの状態が落ち着いていて、医師の許可があれば、ママたちも赤ちゃんに触れることができます。私が働いていた病院では、ママやパパの手を清潔にしてから、温かい保育器の中の赤ちゃんを優しく触る“タッチケア”や、ママやパパの胸の上で裸の赤ちゃんを抱っこする“カンガルーケア”を行っていました。ケアをすると、それまで暴れっぱなしだった赤ちゃんが落ち着いて寝たり、ミルクをあまり飲めなかった赤ちゃんの哺乳力がアップしたり、ママやパパの方も現実を受け入れて元気になったり、前向きに考えられるようになったり、いろんなことが少しずつ良い方向につながっていきました。私自身、その場に立ち会い、毎回一緒に感動していましたし、直に触れることの素晴らしさを実感していました。」

―その後、看護師からベビーマッサージの道へ進まれたということですね。

英里「上京するにあたり、働いていた病院を退職し、しばらく専業主婦として過ごした後、アパレルのPRとして働き始めました。でも、働きながらふと立ち止まって考えたときに、私は直接人と向かい合って、目の前の人の助けになることや、反応を見たりするようなことがしたいと漠然と思うようになって…。そんな気持ちが高くなったある日、本屋に行きました。NICUを経験しているので、やっぱり赤ちゃんコーナーの本が気になったりするのですよね。そこで、ベビーマッサージの本に出会いました。」

―それまでベビーマッサージに関する知識はあったのですか?

英里「いえ、まったくありませんでした。ベビーマッサージに関する本を何冊か読むと、NICUのタッチケア、カンガルーケアから始まったという説が書いてあるものもあって…。私自身、双子で1800gで生まれたので、生まれてすぐは保育器に入っていましたし、小学校のときに虫垂炎で入院したのをきっかけに看護師を目指し、看護師になってからはNICUで働きました。すべての経験、その点と点がつながった、という感覚がありました。本を読みながら心の中で熱くなるものがあって、これを伝えないといけないって思ったのです(笑)。ふれあうことは、とてもシンプルだけど生きる力の源になる素晴らしいものだということをみんなに伝えたい、という使命感があふれ出ました。」

■「ママたちが楽しめる時間、場所、きっかけを提供したいです」

―そしてすぐに勉強を始め、資格を取られたんですね。

英里「ベビーマッサージの資格といっても、さまざまな協会があり、正直、ピンキリです。いろいろ調べて、私は二つの協会の資格を取りました。それぞれの良さと、私がNICUで培った経験、本などで勉強したものを組み合わせ、親子にとってより良いふれあいができるベビーマッサージを研究しました。そしてベビーマッサージの教室を始めました。」

―教室を始めてみて、どんなことを感じましたか?

英里「パーフェクトに育児をやらないといけないと思い込んで、肩に力が入っているママたちが多いなと感じました。ある日、6ヶ月ぐらいの赤ちゃんを連れたご家族がレッスンに来て、『産後、初めて外に出ました』っておっしゃったのです! それにはびっくりしました。でも家の中に閉じこもっているママさんはけっこう多いですよね。また、レッスン内の自己紹介のときに『ママ友が1人もいない』とおっしゃる方もいます。そんなママたちも、レッスンを通して、他の人と情報交換したり、仲良くなったりしています。私のベビーマッサージをきっかけに外出したり、そこで知り合ったママたちと仲良くなったりしたという話を聞くと、嬉しくなりますね。一歩踏み出せなかったママたちが、楽しい時間を過ごせる場やきっかけをどんどん提供していきたいなと思いました。」

―ベビーマッサージ以外の資格も取得されているそうですね。

英里「ヨガも好きでずっと続けているので、ヨガの講師の資格も持っています。妊娠前にはピラティス、妊娠中にマタニティヨガの資格も取りました。本来なら自分でもヨガのレッスンをやりたいところなのですが、私の身体はひとつだけなので、ベビーマッサージのレッスンとプレママ向けの活動だけでいっぱいいっぱい(笑)。

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