スペシャルインタビュー

 

蛯原英里インタビュー①『ふれあいの素晴らしさ』

FUREAI LAB.は、より多くの人に“ふれあい”の魅力を知ってもらいたいという蛯原英里さんの熱い思いから、生まれました。幼少期の記憶、看護師としてNICU(新生児集中治療室)で働いていた経験、ベビーマッサージ講師としての活動、ママになって感じたこと、すべての点と点が結びついて、今がある。彼女がどんな思いでFUREAI LAB.を立ち上げ、そして、これからどんな活動を行っていきたいと考えているのか。大切な思いを彼女自身の言葉で語っていただきました。第一回目は、FUREAI LAB.を立ち上げた理由からスタートです。
「赤ちゃんから老人まで、愛のあるふれあいを伝えていきたい」

■「FUREAI LAB.は、ふれあいの時間をハッピーにする研究所」

―まずはFUREAI LAB.を立ち上げることにしたきっかけから聞かせてください。

英里「私はもともと看護師として働いていたのですが、その後、ベビーマッサージの資格を取得し、2015年に親子の心と身体のケアを目的とした『日本チャイルドボディケア協会』を立ち上げました。その代表として、ベビーマッサージの教室を開いたり、プレママ向けのイベントを行ったり、さまざまな活動を行いながらふれあいの魅力を伝えてきました。全国各地のイベントの参加者をあわせると、かなりの数の親子と出会ってきたと思います。しかし、ベビーマッサージを中心とした活動は、“ベビー”という名がついているため、どうしても赤ちゃんとそのママやパパたちがメインになりますし、私の教室やイベントに来てもらった人にしか、ふれあいの魅力が伝えられず、もどかしく思ってきました。ふれあうことは、親子だけでなく、大人同士でも大事なこと。日頃からしている手と手のふれあい、肌と肌のふれあいだけでなく、もっといろいろなふれあいがあること、濃密なふれあいがあることをもっと多くの人に知ってもらいたい。そんな思いを多くの方と共有するために、この度FUREAI LAB.を立ち上げました。ベビーマッサージだけでなく、ふれあいの重要性を伝えるために活動の幅を広げていきたいと考えています。FUREAI LAB.は、ふれあいの時間をハッピーにする研究所です」

―英里さんの考える“ふれあい”とは、どのようなものなのでしょうか。

英里「私がベビーマッサージの中で推奨しているふれあいは、胸と胸を向かい合わせて、しっかりと相手の目を見て、“あなたの事を見守っているよ”という気持ちが伝わる姿勢でふれあうことです。ふれあいって、さまざまな形があると思うのです。肌と肌のふれあいだけでなく、心と心が寄り添う、例えば離れていても心が繋がっているような関係もあると思うのです。“ふれあい”は、“触れ合い”と書きますが、“ふれ愛”でもあるのです。ふれ愛は、1人では出来ません。必ず相手がいて成立するものです。つまり、愛のあるふれあいでないと意味がないのです」

―“ふれ愛”って、素敵な言葉ですね。

英里「そうですよね。ふれあいは、タッチケアとして医療や福祉の現場でも注目されているものです。他にも自閉症や認知症の予防、ホスピスケアなどさまざまな分野で使われているのです」

■「ふれあいが生きる力につながります」

―いまの世の中、ふれあいに悩むママやパパも多いのでしょうか。

英里「ベビーマッサージにいらっしゃるママたちから、子どもとのふれあい方がわからないですとか、1日何分ぐらいふれあえばいいですか?とか、働いていて週末しかふれあえないのですが足りていると思いますか?といった質問をよくいただきます。でも、ふれあいで重要なのは、時間の長さではないのです。1日30秒でも、気持ちを持ってふれあえば、それでいいのです。“あなたのことしっかり見ているよ”、“あなたを愛しているよ”、ということが伝われば、ちょっとしたふれあいでも子どもは満足するのです」

―なるほど。では、ふれあいがもたらすものとは?

英里「ふれるのは良いことですよって、口で言うのは簡単ですけれども、聞いたからすぐにできるというものでもないし、ふれてすぐに効果があるものでもありません。でも、確実にいつか、やっていてよかったと思えるときがくるはずです。私は、ふれあいが、なにかを乗り越える力にもなるし、生きる力にもなると思っています。お互いの存在を認めながらふれあうことで、自分を受け入れてくれる人がいるという安心感、自分はここにいていいんだという自己肯定感を育むことに繋がります。そして自分に自信を持ち、他者への痛みを理解し、優しさや思いやりを持てるようになると考えています。やがて、学校や職場、社会に出たときに、もし挫折を味わうことが起きたとしても、自分の事を応援してくれる存在があると感じ自分を信じる力があればその壁を乗り越えられると思います。また、現代社会の問題として挙げられている、例えば、幼児虐待や自殺者が増えていることなど…さまざまな事件なども防げるきっかけになると思うのです。私たちの基盤となる『心』を育ててくれるふれあいはとても大切なのです。」

―英里さんにそう言われると、説得力があり、ふれあいを意識しようという気持ちになりますね。

英里「そうだと嬉しいです(笑)。単純に、好きな人にふれられるのって、嬉しいじゃないですか。それは赤ちゃんだけでなく、大人になっても、高齢者になっても。悲しくて内にこもっているときでも、背中にポンと手をあててくれえるだけで、温かい気持ちになって心の殻も緩んだり、色々な感情が湧き出るきっかけになると思うのです。私はNICUで看護師をしていたという経験があるので、一緒に体験して、共感することの意味が良くわかっています。このFUREAI LAB.でも、いろんな方たちの悩みに寄り添って、伝えられることがあると感じています。FUREAI LAB.を立ち上げ、運動体として活動していくことで、日本全国の赤ちゃんから老人まで、多くの人にふれあいの魅力を伝えたいと思っています」

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